研究課題/領域番号 |
63450094
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
西村 一朗 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (30043186)
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研究分担者 |
疋田 洋子 奈良女子大学, 家政学部, 助教授 (90031674)
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キーワード | 住居管理関連職能 / 千里ニュータウン / 木部管理 / 材料的配慮と構造的配慮 / Housing Management / 日英比較 |
研究概要 |
本年度、主に次の三点の作業をし研究課題への基本的接近をはかった。(1)都市集合住宅地での住居管理関連職能の発生と展開、現状と問題点を聞き取り、資料収集調査により大枠を把握した。具体的には、わが国で最初の本格的ニュータウンである大阪府の千里ニュータウンにおいて、大阪府営、都市・住宅整備公団、大阪府住宅供給公社それぞれにおける住居管理関連職能を明らかにするため、現地で観察調査もしながら聞き取り資料収集を行った。この結果、大略良く似た賃貸住宅を管理しているにもかかわらず、そのやり方において共通性よりも独自性が際立っており、又、同じニュータウンに接して建っているにもかかわらず、管理部局同士の横のつながりが希薄なことも判明した。これらの理由、今後の課題を更につっこんで明らかにする要がある。これらの観察調査に当って住棟の状態を客観的に記録するため「マミヤM645スーパー」カメラを活用した。(2)伝統的木造住宅の管理に関して「木造住宅フォーラム」の会員100名(各県2、3名)に対し、住宅内外の木部保存について、各地方での伝統的方法、一般庶民の日常管理慣習等につきアンケート調査をした。その結果、外部については白蟻防止に事前に塩水に浸す、木材中の不純物除去のため流水に浸す、焼き板とする、紅がらを塗る、長期間乾燥させる等が、内部については柱などにウルシを塗る、囲炉裏の煙やヤニが防腐防虫に役立った等が、それぞれの地方的伝統としてあげられたが、単に材料に対する配慮だけでなく、通風を良くする等の構造的視点も重要なことが判明した。庶民の日常管理では、柱や床を磨くには、袋に入れたぬか、おから、ごま等が良しとされ、水拭きは木部を黒くするので汚れた場合や気の張らない場所でのみ行われた傾向にある。(3)イギリスの住居管理のテキストHousing Managementの一部翻訳をし、住居管理職能の日英比較のための基礎作業に着手した。
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