研究概要 |
本年度は二つの調査を行った。一つは、奈良県営住宅の管理システムと管理職能を担う人達の位置づけについて、同時に住宅団地における自治会の住宅管理にかかわる役割についても行ったものである。その結果(1)奈良県は,県営住宅管理全般を奈良県住宅供給公社に委託している。(2)現地におもむく管理人として,団地の規模により専任管理人と巡回管理人にわかれる。(3)現地における管理人として,居住する県職員より「管理人」が選ばれている。(4)以上の,人的システムでは不十分なので,団地自治会が住宅管理にかかわらざるをえなくなっている。もう一つの調査は,住宅の耐用年数と管理に関するもので,東京50名,大阪50名,広島30名について意識調査を行った。住宅の耐用年数については,50年を希望する人が最も多く,ついで30年であった。50年以上の耐用年数を望む人は,「よい家を建て長くもたせない」,「一度は自分で建てない」などをあげ,20年30年を希望する人は,「ロ-ンが終るから」や「家族構成が変わると生活が変わる」ことをあげている。住宅の日常管理は,ほとんど「家庭でできる」としているが,「木部と鉄部の塗装」と「排水管の清掃」等は,専門業者の助けを必要としている。又,専門家による家屋の点検については,18%の人が有料でも利用すると答えた。特に一戸建では,「屋根」「外壁」「シロアリ」「木部の腐朽」「ガス配管」「排水管」などを,集合住宅では「給水管」「排水管」の点検を望んでいることが明らかとなった。
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