本研究は、身体安全性の能力の一つとして、一定の台高からのとび降り動作における着地時の衝撃緩衝能を取り上げ、発育期におけるその発達過程を運動学的に究明しようとしたものである。 研究初年度の昭和63年度は、幼児と小学生、その対照群としての大学生男女を対象とした調査測定を実施した。この研究成果については、第44回日本体力医学会大会と日本体育学会第40回大会において学会報告すると共に、東京学芸大学紀要ならびに体育科学に論文としてまとめた。 研究2年目の平成元年度は、中学生と高校生を対象として調査測定を実施した。この研究成果については、前年度の幼児と小学生の研究結果と併せて、第45回日本体力医学会において学会報告した。 本年度は、3年間の研究成果のまとめとして、「平成2年度科学研究費補助金研究成果報告書」を刊行した。 以上のような研究経過にもとずき、その研究成果をまとめると、次のようである。本研究は、発育期にある児童・生徒を対象として、各自の身長の30%あるいは60%という台高からとび降り動作を行わせ、その際の着地動作や着地衝撃を16mm映画、筋電図および地面反力記録から分析検討し、発育期における着地衝撃緩衝能の発達的特徴について運動学的に明らかにしようとした。その結果、発育期における着地衝撃緩衝能は、衝撃緩衝時間とともに加齢的な発達を示した。この発達は、主に着地動作中における足首、膝および腰関節の角変位置の増大や膝伸展筋群の持続的な著しい筋活動の増大によるところが大きいと考えられる。なお、12歳から14歳にかれては、急激な形態発育による一時的な着地衝撃緩衝能の低下が認められた。
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