研究概要 |
最終年度にあたり,「体育・スポ-ツにおける戦後初期改革の研究(1)〜(6)」を第41回日本体育学会全国大会で口頭発表を共同研究として行った。これは、主として1945〜1947年8月の初期改革構想とその形成過程を実証的資料にもとづいて分析したものである。 これに引き続いて,1947年以降の展開過程について分析し,主として次のような知見を得た。1)「小学校学習指導要領(体育篇,の作成過程における主眼と問題点,とくに学習内容概念の導入と授業展開における教材の位置付け,2)「対外試合基準」策定に至るCIEの基本理念と日本側の対応との矛盾,3)「社会体育施設計画」樹立に至る実態と計画の原則並びにレクリエ-ション運動との関連である。但,「新体育」論とアメリカ体育との関連についてはTFELの講義録分析が不十分なため,課題として残っている。 さらに,1949年以降の修正過程については,1)体育局の機構改革と社教法制定の関連を分析したが,ことに『社教法補置案』の発堀と分析は,社会教育史のうえでも重要な提起となった。2)「学校武道」の復活過程について克明に実証化したが,これについては投稿を準備している。3)スポ-ツの国際復帰についてはGHQ・CIEの役割を分析したが,主として体協側の内部葛藤が不透明なため,さらに確定的事実を追求する。4)新学制発足に伴う学校体育施設の充実や「社会体育4ヶ年計画」の過程において,スポ-ツ図書館構想や地域レクリエ-ションセンタ-構想の発見とその破掟の財政的要因を解明した。 また,「清瀬構想」といわれた日本側の大衆化路線については,再度問い直すべき弱点を多くもっていること等が明らかになったが、国際交流とのかかわりでさらに深める必要がある。全体像の解明にむけて,課題を整理し,できるだけ早く,出版計画に入りたい。
|