本研究の目的は、エマルジョン・カウンタ-ハイブリッド検出器によって得られたΣ^-、Ξ^-等のハイペロンと原子核との反応デ-タを京都大学に於て解析し、H粒子やダブルハイパ-核の探索、Σ^-、Ξ^-と原子核の反応断面積の測定を行う事である。今年度は、昨年度高エネルギ-物理学研究所で、K^-中間子ビ-ムを用いて取得されたデ-タについて、まずカウンタ-デ-タの解析を行ない十分なS/N比で、6000以上の(K^-、K^+)反応を同定した。このうち半分以上は、Ξ^-の飛跡が、エマルジョン中で観測できると考えられる。一方また、25×25cm^2の大面積のエマルジョン自動解析装置については、今年度μVAX計算機とつないで、ソフトウェアも製作し、エマルジョン解析を開始している。これまでのエマルジョン解析では、まだその総量の10%しか行なわれていないが、これまでの解析では次のように事が見出されている。(1)(K^-、K^+)反応のうち、準二体反応に対応すると考えられる、運動量の高いK^+の部分についてはその約2/3についてΞ^-の飛跡が見出される。(2)そのうち、エマルジョン中でストップ又は反応しているΞ^-のcandidateは40eventで、そのうち1ヶ以上の蒸発荷電粒子をともなっているものは、17eventである。(3)このうち2ヶのeventについては、2ヶのストレンジネスの崩壊が見られ、ダブルハイパ-核である可能性がある。今後さらに統計を上げるとともに、反応点まわりのvolume scanによって、H粒子のΣ^-P崩壊を探索し、又ΛのΠ^-P崩壊等もさがす予定である。さらに、(K^-、K^+)反応だけでなく、(K^-、Π^+)反応もscanし、Σ^-とエマルジョン原子核との反応についても調べていく。
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