研究概要 |
本年度は大型の宇宙線マス・スペクトロメ-タ-を完成しそのキャリブレ-ションをミュ-粒子で行い陽子の強度を求めた.この観測装置は吸収体の上にシンチを一層増やし3層とした。さらに各層のシンチのユニットを1から3に増やした。その結果アクセプタンスは290から2297.5cm^2・srと約8倍になった。また3層のシンチで入射速度(β)を測定した結果測定の精度及び信頼性をあげることが出来た。シンチからの信号の全チャンネル数は12で、その波高値及び時間の測定は前回と同じくCAMA ADC,TDCで行った。トリガ-はシンチ1、3層間の遅延時間で行った。今回は、オンライン・デ-タ-取得方法を全面的に改良した。コンピュ-タ-はPCー9801を使用し、デ-タを8mmカ-トリッジテ-プ装置(EXBー8200)で25/秒の高速で記録した後、DEC・ステ-ションで解析した。その結果、デ-タの蓄積速度(1.6msec)、量(テ-プ1本で1200万イベント)及び解析能力は大幅に改善された。まず、ミュ-粒子で装置(吸収体なし)のキャリブレ-ションを全てのシンチの波高、時間について行った。今回は3層のシンチで入射速度を決定した結果、速度分解能はσ=5.54%で前回(7.6%)より大変良くなった。トリガ-頻度は遅延なしで22/sec、遅延トリガ-では8/sec(2nsec遅れ)となり、ほとんど死に時間無しでデ-タを取ることが出来た。入射βとシンチ波高値(4層目)の観測結果から陽子の強度(1/cm^2・sec・sr)を次の四つのβ領域で求めることが出来た, (9.55±1.69)×10^<-7>(β=0.40-0.50、(9.61±0.54)×10^<-6>(β=0.50-0.60)、(1.65±0.07)×10^<-5>(β=0.60-0.70)、(3.92±0.11)×10^<-5>(β=0.70-0.80)/cm^2・sec・sr。この値は前回より小さいがシドニ-、オ-クランド大学の観測結果に近い値である。現在、鉄吸収体を入れて観測しており2重水素、3重水素そして存在すればこれより重い粒子の観測が可能である。
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