研究概要 |
垂直方向から降って来る速度が光速の0.4ー0.8の陽子、2重水素,3重水素及びもし質量が4ー5Gev/c^2以上で長寿命,電荷1で透過性の荷電粒子があればその粒子をマス・スペクトロメ-タ-を用いて観側した。第1回観側に建設したマス・スペクトロメ-タ-(S Ω=290cm^2・sr)は3層のシンチレ-タ-(各層200cm×20cm×2cm)、1層の鉄吸収体及び4層の2次元ドリフトチェンバ-(セル、5cm×5cm)から成っている。大きさは縦200cm×横120cm×高さ280cmである。鉄吸収体上の2層のシンチ(TOF)で入射粒子の速度を側定する。吸収体下のシンチ(3層目)の波高値から吸収体での減速の割合を求め入射粒子の質量を決定した。ミュ-粒子(β=1付近)でσ=7.0%の速度分解能を得た。鉄9.3cm、トリガ-の時間遅れ1または2ナノ秒で約6カ月間観側を行った。イベント選択をした後、吸収体下のシンチの波高値を入射速度に対してプロットすると陽子と2重水素の帯が明確に見られ、計算結果とよく一致していた。しかし3重水素の帯は明確ではなかったが計算線上に13イベントあった。この結果、陽子の強度(1/cm^2・sec・sr)は0.8×10^<ー5>(β=0.7)で今までの結果より少し低い、2重水素は1.4×10^<ー7>(β=0.6)で一致している、3重水素は6.0×10^<ー8>(β=0.6)とシドニ-に近い結果を得た。Yockの重い粒子は観側されなかった、上限値は8.6×10^<ー9>/cm^2・sec・srでYockの強度2×10^<ー9>/cm^2・sec・srには達していない。第2回観側は平成元年10月末からシンチを各層3ユニットに増やし約8倍(2297.5cm^2・sr)にアクセプタンスを上げ、更に吸収体の上に3ユニットのシンチを1層増やし3層にし速度の精度を上げて観側を行い,0.4ー0.8の間の4つのβ領域で前回より少し高い陽子強度を精度よく求めることが出来た。現在、鉄吸収体を入れて観側を続けており宇宙線中に存在すれば重い新粒子の観側が可能になる。
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