研究課題
1.本観測システムでは、BP28中性子カウンタを増設することにより、太陽中性子検出感度を2倍に上げ、得られた信号は、本観測用に新たに完成した太陽中性子記録計により、10秒値として記録される。具体的には、12本のカウンタからの各々の計数、気圧、および多重度1、2、3、4、5、>5の現象を記録することにより、そのエネルギ-の情報を得ることができる。もう一つの方法として、飛行時間によりのエネルギ-を見積もるためには、正確な絶対時間が必要であり、そのために年差2秒の時計を別に備えた。2.本装置により、1989年8月15日の大フレアに伴って発生したと考えられる中性子が観測された。このときの計数率の上昇は1分値にして7σであり、地球近傍で、このエネルギ-スペクトルの羃は2.2程度が見積もられた。この結果は、第21回宇宙線国際会議で報告された。3.過去の5つの大フレアについて、太陽中性子のエネルギ-の上限が観測値を基とした計算により見積もられ、第21回宇宙線国際会議で報告された。4.本装置により、1989年9月29日の太陽フレアに伴って、最大34%に及ぶ宇宙線の異常増加を33年ぶりに日本で観測した。その観測結果は12〜25GeVのエネルギ-をもった粒子が地球にやって来たことを示している。この異常増加を引き起こした粒子は、観測された時間とその限界硬度により、地球を通過する惑星間磁場の方向から地球に入って来たことが判明した。フレア粒子の太陽大気中での拡散を仮定して、G.C.Reidの式を使うと、観測された立ち上がりから、太陽大気中での拡散の平均自由行程は、1.4X10^7cmが見積もられた。この結果は論文および第21回宇宙線国際会議で発表された。
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