研究課題/領域番号 |
63460022
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
澤田 安樹 東北大学, 理学部, 助教授 (90115577)
|
研究分担者 |
後藤 輝孝 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (60134053)
鈴木 治彦 東北大学, 理学部, 助手 (50004370)
佐藤 武郎 東北大学, 理学部, 助教授 (00004424)
伊豆山 健夫 東北大学, 教養学部, 教授 (10012288)
|
キーワード | 固体ヘリウム3 / 核スピン / 交換相互作用 / 核帯磁率 / NMR / 圧力 / 比熱 / 低磁場秩序相 / 高磁場秩序相 / 融解圧力計 / ヘリウム3-4希釈冷凍機 / 核断熱消磁冷凍 / シールド付超伝導マグネット |
研究概要 |
立方対象のBCC固体ヘリウム3はスピン1/2をもち、最も単純な磁性体の典型的な系として注目されてきた。しかし、実験から明らかになってきた磁気的な振舞は、予想に反して極めて複雑で興味深いものであった。理論的には、固体ヘリウム3の中では一般的な二体の交換相互作用の他に、三体、四体の交換相互作用が大きな役割をしていると考えられている。これまでに、核帯磁率、秩序状態におけるNMR、圧力、比熱測定によって重要な知見の蓄積が行われ、低磁場秩序相と、高磁場秩序相の二種類の秩序相があることが明らかになっている。本課題では核磁気秩序相の性質を、NMR、SQUID、融解圧力計を用いて実験的に研究する。本年度は、温度計測の確立、磁歪、核磁気相移転の次数の決定、低磁場相の縦核磁気共鳴を計画していたが、ヘリウム3-4希釈冷凍機の真空リークがあり、研究は予定通りには進まなかった。ただし本科研費で購入したエコノミー圧力計を使うことによって、制作したヘリウム3融解圧力温度計を較正し、圧力極小値、超流動転移点A、Bを定点とすることにより正確な温度計測ができるようになった。また、核断熱消磁冷凍を行うための核ステージを制作した。99.996%の無酸素銅に、渦電流による発熱を防ぐために1.5mmおきにスリットを入れた。更に超低温度での熱伝導度を上昇させるために、1000°Cの酸素0.1ミリトル雰囲気中で48時間の熱処理を行うことによって低抗比3000にし、0.1mk以下の温度が得られるようにした。磁場中での融解圧力の測定と、本科研費で購入した高周波ロックインアップを用いたNMRの測定を行うために、ニオブシールド付超伝導マグネットの製作をした。希釈冷凍機のリークが止まり、温度も1.1mkまで下がるようになったので、今後の当初の固体ヘリウム3の核磁性の研究に向って大きく前進できると考えている。
|