研究課題/領域番号 |
63460025
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒田 規敬 東北大学, 金研, 助教授 (40005963)
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研究分担者 |
仁科 雄一郎 東北大学, 金研, 教授 (90005851)
酒井 政道 東北大学, 金研, 特別研究員 (40192588)
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キーワード | 擬一次元白金錯体 / ソリトン / 高圧 / 顕微分光 / 顕微ラマン |
研究概要 |
擬一次元白金錯体単結晶におけるソリトン励起分光スペクトルを低温高圧下で測定するために、落射・透過両用の励起光源としてILCを社製高輝度キセノン.イルミネーターシステムを購入し、光ファイバーとコリメーターを用いて既有の赤外線顕微鏡に接続させた。また、アルゴンレーザー光をシングルモード光ファイバーで赤外線顕微鏡の落射鏡筒に導入し、直径10μmのスポット照射を行えるようにした。更にオックスフォード社製液体ヘリウム連続フロー式温度制御装置を購入して赤外線顕微鏡のステージ上で試料を任意の温度に冷却できる光学セルを製作した。この顕微鏡システムを用いて撮影したビデオ画像のコンピューター処理装置も本年度経費により完成させた。このような装置製作と並行して、塩素架橋型白金錯体結晶の光吸収スペクトルに対するレーザー光照射効果の予備実験を行った結果、スポット照射の断続に伴うソリトンの生成・消滅の過渡的変化を実時間スケールで初めて観測することが出来た。また、圧力領域をこれまでの最高である3GPa以上に拡大することを試み、良好なな静水圧性を保ちながらおよそ6GPaにまで上昇させることに成功した。そこで上述の顕微分光装置を用いて光吸収スペクトルとラマン散乱スペクトルを同時に測定したところ、およそ4GPaで両スペクトルに劇的な変化が生じることが見出された。これは、これまで知られていなかった何らかの高圧相が一次相転移によって圧力と共に結晶内でもザイク状に成長してゆくためと推定された。本年度製作した顕微鏡画像処理装置の立ち上げを兼ねてこの高圧相の体積分率を測定した結果、分光スペクトルの強度と完全な相関のあることが確認され、我々の推定が証明された。以上により、装置製作、予備実験共に本年度の研究目的をほぼ達成できたと思われる。
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