研究課題/領域番号 |
63460035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 増雄 東京大学, 理学部, 教授 (80013473)
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研究分担者 |
香取 眞理 東京大学, 理学部, 助手 (60202016)
宮下 精二 京都大学, 教養部, 助教授 (10143372)
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キーワード | コヒーレント異常法 / 超有効場理論 / エキゾティックな相転移 / 専用計算システム |
研究概要 |
系統的な平均場近似の列に現れるコヒーレントな変化から相転移、臨界現象を研究するコヒーレント異常法(CAM)という新手法を多くの問題に応用するためには、近似理論の構成方法に対する一般論が必要である。鈴木は、従来の平均場近似のように相互作用を平均的な力で置き換えるものと違って、全く一般的にあらゆる可能性を考慮して(系の対称性などを考慮した上で)有効場を導入する超有効場理論を開発した。この理論を用いると、一点のみではなく有限の広がりを持った領域で定義される有効場も統一的に扱えることになり、CAM解析に必要な平均場近似が従来作れなかったエキゾティックな相転移に対しても近似列が構成出来るようになった。いままで計算機シミュレーションで数値実験的に調べられていた現象、たとえば、2次元3角格子上の反強磁性回転子模型のトポロジカルな秩序形成やスピングラス転移などが、この超有効場によって解析的に扱えることになり、そのメカニズム解明が容易になった。 CAMはスピン系の相転移のみならず、自己回避酔歩やパーコレーションの問題にも応用され、また非平衡系への適用可能性も議論されている。最近は他分野にも応用されはじめ、素粒子の格子ゲージ理論への応用結果も報告されている。有効場理論に対する研究も進み、厳密な有効場、最適多重有効場、対称分離有効場の理論が鈴木により提唱された。 相転移・臨界現象の研究のために専用計算システムm-TISIIが開発された。この改良型により、イジング模型に限らず、かなり広範な模型をもシミュレーションすることが可能になり、大きなクラスターに対するモンテカルロCAMが実行出来るようになった。
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