外力の変化に対する湿潤大気のふるまいの研究をするために次の様な研究を行なった。 将来の基準になるという意味で、全球が温度一定(30°C) (木星型水惑星モデルと呼ぶ)海で覆われた場合の湿潤大気のふるまいについての数値実験を行なった。モデルは、東大の共同利用可能なモデルを用いた。 得られた結果は以下の如くである。 1.当初は、ramdomに積雲活動の盛んなところ(今後積雲と呼ぶ)が分布していたが、時間と共に赤道域付近に集中し、赤道上では、東西方向にも、2〜3個のクラスターになった。粗い分解能のモデル(T21)では、赤道を中心に1本のバンド構造に、高分解能のモデル(T42)では、赤道に関して対称に、2本のバンド構造となった。クラスターの位相速度は、T21とT42で異なったが、時間スケールは、共に40日前後であった。 2.この赤道域での東西方向の積雲活動の組織化に関しては、蒸発量が決定要因であることが示された。つまり、充分な水蒸気の補給があれば積雲活動は組織化されず、不充分になると組織化がおきることになる。 3.バンド構造に関しては、地球の回転に伴う赤道波の存在によって、組織化が行なわれると考えられる。それ故に、南北の分解能が不充分なT21では、1本となり、T42では、2本となったのである。地球の自転を遅くしてゆけば、T21での2本のバンド構造が、見い出される。
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