研究課題/領域番号 |
63460045
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮原 三郎 九州大学, 理学部, 助教授 (70037282)
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研究分担者 |
馬谷 紳一郎 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30112353)
山形 俊男 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (50091400)
高橋 正明 九州大学, 理学部, 助手 (70188051)
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キーワード | ENSO / エル・ニ-ニョ / ラ・ニ-ニャ / 大気海洋結合優乱 / 西太平洋蓄熱量 |
研究概要 |
本年度もひき続きAnderson and McCreary型の海洋モデルGill型の大気モデルを結合させ、大気海洋の相互作用に基づく気候変動の研究を続行した。特に今年度は、西太平洋に於けるENSO発生機構に対するこの地域での気象要素の変動の役割について詳しく調べた。その結果、以下の事柄が明らかになった。 モデル非線形性によって、線形不安定論から予想されるものとは異なる状態が実現される。大気海洋結合擾乱れの発生には、前回のイベントに伴う海洋の赤道ロスビ-波は全く関与していない。これは、海洋の東西の幅を変化させても、現れるENSOの周期に変化が無いことで確かめられた。また、西太平洋での東西風の変動が、結合優乱の発生に必要な西部熱帯太平洋の海洋蓄熱量の変化をもたらしている。この風の変動は、西太平洋の西に存在する陸上での大気加熱に伴って引き起こされる西太平洋上の偏東風と、先に発生した結合擾乱による西風アノマリ-との相対的な強さにより決定される。陸上加熱が弱い場合には振動は現れず、永続するエルニ-ニョの状態が実現される。また、加熱が強い場合には永続するラニ-ニヤの状態となる。陸上加熱が適当な大きさを持つ場合にのみ振動が現れる。この様な結合擾乱の発生機構はこれまでに報告されているものとはかなり異なる。しかしながらこの結果は、最近報告されているENSOの最盛期前の西太平洋の海表面温度アノマリ-とインドの雨量、つまりアジアモンス-ンの強度との強い相関の存在などの観測結果と符合しており、西太平洋西側の陸上の加熱がENSO現象に取って重要な役割を果たしていることを示している。
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