研究課題/領域番号 |
63460046
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山形 俊男 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (50091400)
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研究分担者 |
馬谷 紳一郎 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30112353)
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キーワード | ENSO現象 / エル・ニ-ニョ / アジア・モンス-ン / ミンダナオ・ド-ム / 海洋大循環モデル / ITCZ |
研究概要 |
1.西部熱帯太洋の海洋循環:暖かいENSO現象が発生する前に、西太平洋赤道域で正のOHCアノマリ-が現れるが、この海域には例年、冷水域が発達している。ENSO現象のプレコンディションの形成過程を明らかにする目的で、この冷水域、ミンダナオ・ド-ムの季節的発達過程をインド洋・太平洋赤道域を含む高解像度のOGCMを用いて調べた。モデルを季節変動を含む風の気候値で駆動した結果によれば、ド-ムは晩秋から発達し始め、2月頃に最盛期を迎える。ITCZの南下に伴い、冬のアジア・モンス-ンによる局所的エクマン涌昇が強まり、上層へ運ばれた冷水はNECCにより東に流されド-ムは発達する。冬場に強化された北東貿易風は潜熱放出を増加させ、この冷却効果もド-ムを発達させる。この強い貿易風は同時に、エクマン輸送により160°Eから日付変更線付近の赤道域北部に暖水を集積する。これは暖かいロスビ-波として西進し、春季にはこの波に伴う暖水の流入によりド-ムの東端は後退し冷水域は縮少する。NECCや前述の局所的湧昇の季節的弱体化もド-ムの衰退過程においては重要である。更にこうしたド-ムの季節変動は、日付変更線以西の風の場(アジア・モンス-ン領域)に支配されていることが、風の場を人為的に操作した「計算機実験」により明らかになった。 2.太平洋循環系の経年変動:前項で述べたOGCMをFSUの風で駆動し、そのシミュレ-ション結果の経年変動の時系例デ-タを得た。結果は現在解析中であるが、エル・ニ-ニョに対応する現象が再現されており、今後観測ダ-タや季節変動のシミュレ-ション結果との比較等によりENSO現象の本質を更に理解すべく検討中である。
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