研究課題/領域番号 |
63460056
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松波 弘之 京都大学, 工学部, 教授 (50026035)
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研究分担者 |
吉本 昌広 京都大学, 工学部, 助手 (20210776)
冬木 隆 京都大学, 工学部, 講師 (10165459)
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キーワード | アモルファスシリコン / アモルファスシリコンカーボン / 超構造 / キャリア輸送過程 / 膜内水素 / 光電子分光法 |
研究概要 |
本研究はアモルファスシリコン/シリコンカーボン超構造(極薄膜多層構造)内のキャリアの輸送過程を明らかにすることを目的としている。本年度は以下のことを明らかにした。 〔超構造における膜内水素の結合様式〕超構造をグロー放電法で製作した。超構造の井戸層(aーSi:H)内の水素結合様式をフーリェ赤外吸収法で測定した。障壁層幅(aーSiC:H)は20〓一定で、井戸層幅を11から510〓まで変化させた。障壁層aーSiC:Hの炭素組成は0.2、0.5、0.8と変えた。井戸層幅が40〓以下では、SiーH_2結合の形で水素が膜中に取り込まれる。井戸層幅が40〓を越えると、膜中にはSiーH結合が形成される。井戸層幅が65〓を越えると、SiーH_2結合は減少しはじめ、SiーH結合が優勢となっていく。井戸層幅が100〓まではSiーH_2が優勢であり、このため超構造の禁制帯幅は見かけ上大きくなる。 〔アモルファスシリコン/シリコンカーボン異種接合のバンドオフセット〕井戸層aーSi:Hがn型の場合、aーSiC:H(炭素組成0.8)は電子に対して障壁となる。aーSi:H(n型)/aーSi_<0.2>C_<0.8>:H超構造で膜厚方向にトンネル電流が流れることを観測した。一方、井戸層aーSi:Hがp型のとき、超構造内では空間電荷制限電流が優勢に流れる。このときaーSiC:Hは正孔に対して障壁とならない。aーSi:H/aーSiC:H異種接合のバンド構造はaーSi:Hの伝導型によって大きく異なることを光電子分光法により見出した。このことをもとに、超構造におけるバンド構造と電気的性質の関係を明らかにした。 今後、aーSi:H/aーSiC:H超構造を用いてホットキャリアを生成し、その生成・消滅機構の解明を行う。
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