研究課題/領域番号 |
63460056
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松波 弘之 京都大学, 工学部, 教授 (50026035)
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研究分担者 |
吉本 昌広 京都大学, 工学部, 助手 (20210776)
冬木 隆 京都大学, 工学部, 助教授 (10165459)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | アモルファス半導体 / 異種接合 / ホットエレクトロン / トンネル伝導 / アモルファスシリコン / アモルファスシリコンカ-ボン / 超構造 |
研究概要 |
本研究はアモルファスシリコン/シリコンカ-ボン超構造(極薄膜多層構造)内のキャリアの輸送過程を明らかにし、これを固体素子の性能向上に寄与することを目的としている。以下のことを明らかにした。 1.超構造をグロ-放電法で製作した。超構造の井戸層(aーSi:H)内の水素結合様式をフ-リェ赤外吸収法で測定した。障壁層幅(aーSiC:H)は20Å一定で、井戸層幅を11から510Åまで変化させた。障壁層aーSiC:Hの炭素組合は0.2、0.5、0.8と変えた。井戸層幅が40Å以下では、SiーH_2結合の形で水素が膜中に取り込まれる。井戸層幅が40Åを越えると、膜中にはSiーH結合が形成される。井戸層幅が65Åを越えると、SiーH_2結合は減少しはじめ、SiーH結合が優勢となっていく。井戸層幅が100ÅまではSiーH_2が優勢であり、このため超構造の禁制帯幅は見かけ上大きくなる。 2.単一障壁を持つ超構造で、井戸層アモルファスシリコンの伝導型をnまたはp型として、キャリア輸送機構を明らかにした。n型井戸層を持つ超構造では、印加電界強度の増加にともない電子の支配的な伝導機構は、バリアブルレンジホッピング伝導から、ショットキ-効果を含む熱電子放出伝導、ファウラ-ノルドハイム型トンネル伝導へと順に変化していく。障壁層アモルファスシリコンカ-ボンの禁制帯幅を小さくして超構造内のバンドオフセットを小さくすると、高電界領域でも熱電子伝導が優勢で、トンネル伝導は観測されなくなる。 一方、p型井戸層を持つ超構造において、井戸層のド-プレベルを最適化することにより、初めて正孔のトンネル伝導を観測した。この超構造内での正孔の伝導機構は、印加電界強度を増大するにつれて熱電子放出伝導からトンネル伝導へと変化する。また、過渡光電流法を用いて超構造のキャリア輸送過程を明らかにした。
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