研究概要 |
本研究は(1)岡山理科大学に据え付けられた400kV原始直視電子顕微鏡に試料の低温ホルダ-と高温ホルダ-を用いた観察と(2)200kV電子顕微鏡に低温ホルダ-と電子エネルギ-分析装置をとりつけた観察と(3)200kV超伝導対物レンズ付電子顕微鏡で試料を液体ヘリウム温度に冷却して観察することにより行った。像の記録にはGATAN603型TVカメラとソニ-のPVM-14420TVを購入し写真法と共に用いた。 得られた結果は次のごとくである。 1.Nb_3SN超伝導材料、高Tc超伝導材料のYBa_2Cu_3Ox,ErBa_2Cu_3Ox、Bi_2Sr_2CaCu_2Ox(85K),Bi_2Sr_2Ca_2Cu_3Ox(110K)について、常温とTc以下の温度に液体ヘリウムと液体窒素で冷却して原子像を撮影した。 2.グラファイト薄膜にのせたThピロメリテ-トを、液体ヘリウム温度に冷却し200kVで観察した。10amp/cm^2の電子照射では、原子の動きが冷却しても少ししか変わらないことが認められた。 3.電荷密度波CDWを生じる1T-TaS_2とInxNb_3Te_4をこの相変態温度の下と上で観察し電子回折像が変化することを認め、またそれらの格子像を観察した。 4.低温で電子照射損傷効果の異常増加を示すゼオライトに、200kVの電子を照射し、低温、常温での損傷率の変化と、その際のエネルギ-スペクトルを撮影し、結晶が非晶質になることと脱水は同時に起こらず、またCaも水と同時に脱出することを認めた。 5.照射電子のエネルギ-をかえて、Si、Th原子についての移動、照射損傷効果をみるため米国カリフォルニア大学の1MeV ARM電顕を用いて観察を行い、100kVと400kV電顕による結果と比較研究した。 6.形状記憶合金(NiTi)の高温・低温相変態に伴う原子排列変化、形状変化、内部双晶構造の形成変化を400kV電顕に高温ホルダ-を取り付けて研究し、2-3の新知見を得た。
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