研究概要 |
次の4系統の数値解析を行った。 1.線形化ボルツマン方程式の解析:空間的に1次元の問題に対して既に開発した剛体球分子ボルツマン方程式に対する数値積分核法を応用して希薄気体の熱応力すべり流を解析し,境界面の適応係数の影響を明らかにした.さらに,物体を過ぎる流れ等の多次元問題を解析するための数値積分核を構築した. 2.非線形ボルツマン方程式の解析:剛体球分子に対する非線形ボルツマン方程式に対して数値積分核法を拡張することを試み,解析法を設計するとともに,強い衝撃波の構造を解析するための数値積分核を構築した. 3.非線形モデル方程式の解析:前年度に引続き,既に開発した(漸近解との接合および特性曲線法を取入れた)新しい差分法によって円柱状凝縮相からの強い蒸発流の問題を全希薄度にわたって詳細に解析し,気体中における速度分布関数の不連続を正確に記述するとともに,蒸発流の性質,特に凝縮相の状態と無限遠での気体の状態との間に成り立つ関係を明らかにした.また,固体壁面の急激な加熱・冷却によって起こる希薄気体の非定常流を差分法によって解析し,速度分布関数の不連続の伝播と減衰,非線形波の伝播の様子を解明した. 4.線形化モデル方程式の解析:(1)線形化方程式から導かれる巨視的変数に対する積分方程式を,無限領域の問題に対して正確に効率よく解析する変形ノイマン級数法を前年度に開発したが,これを応用して,両側の気体の温度差によって起こるスリットを過ぎる流れを全希薄度に対して解析し,気体との流量と温度差の関係を求めた.(2)上記3と同様の差分法により,無限領域を含む外部流の問題(球を過ぎる流れ,球の熱泳動等)を全希薄度にわたって精密に解析し,速度分布関数の不連続,巨視的物理量,物体に働く力,伝わるエネルギ-に対する希薄度の影響を解明した.
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