304ステンレス鋼中空円筒試験庁を用い、650°C大気中において、軸歪と剪断歪の重畳する二軸比例負荷歪制御のクリープ疲労試験を実施した。剪断と軸の歪成分の比は0〜∞の間で5段階とし、歪波形は対称三角波、非対称三角波、歪保持波とした。また、歪速度、保持時間は広範囲に変化させた。なお、歪範囲は相当全歪範囲で1%を中心に選定した。試験値である応力、歪の瞬時値は、所定のフォーマットに従い、パーソナルコンピュータにより自動サンプリングを行った後、ミニコンピュータシステムに移設してデータベースを構築し、以後のデータ解析を容易にするよう努めた。併せ、別途実施した。同一材料による基準単軸引張圧縮試験データも、このデータベースに登録し、解析の一括化を計った。本研究の昭和63年度における成果は以下のとおりである。 クリープ疲労強度においては、対称三角波と非対称三角波のうちFiS波は、同一材料、同一歪速度下での大気中単軸試験結果と同じ寿命をふしたが、これ以下の歪波形である非対称SF三角波と歪保持波では、多軸の方が単軸の場合より低寿命となる傾向を認め、かつ、その傾向は軸歪成分の多い場合に顕著となる傾向にあった。有効応力を解析した結果、相当応力で表示すると、多軸と単軸でほぼ同程度の値が得られたが、その時間依存挙動は、剪断成分の少ない程顕著となる傾向を示し、これより非弾性変形のうち、時間依存成分は有効応力の垂直成分によって、時間非依存成分は剪断成分によって、主として支配され、かつ、この傾向はクリープ疲労強度にも認められることが示された。 第2年度においては、さらに試験データの充足をはかるとともに、有効応力成分で時間依存の変形および強度のついての合理的な予測モデル開発に努める。
|