研究課題/領域番号 |
63460083
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河合 望 名古屋大学, 工学部, 教授 (10021958)
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研究分担者 |
林 伸和 名古屋大学, 工学部, 助手 (30135305)
佐野 秀男 住友軽金属工業, 技術研究所, 研究員
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キーワード | 塑性加工 / アルミニウム粉末 / 静水圧圧縮 / 塑性すべり / 充填率 / 接合強度 |
研究概要 |
金属粉末の取扱い、機械的特性の測定法等を習得するため、慣用の単純金型圧縮成形実験から始めた。高Siアルミニウム合金粉末を対象とし、直径20mmのポンチ、ダイス(材質:SKD11焼入れ)を用いて、成形圧力と粉末成形体の充填率および圧縮強さの関係を調べた。その結果、成形圧力が高くなるほど充填率は増加し、工具の許容限界まで負荷を増加させたところ、圧力1000MPaで95%まで増加した。しかし、圧縮試験における粉末成形体の破壊状況の観察から、粉末粒子間の接合は全く不十分であることがわかった。この結果から、粉末の固化(接合)は、単純な静水圧力だけでは不可能であることが認識できた。この知識をもとに、粉末に静水圧力だけでなく、粒子間に相対すべりを与えることができる圧縮ーすべり粉末成形体製造装置を自作した。粉末成形体の形状は、中空円筒形で、外径12mm、内径8mmとし、高さは5mmとした。圧縮ーすべり成形工具は高さ方向に2分割されており、粉末に圧縮荷重とともに、片側工具だけ回転させることにより、粉末成形体の中央部にすべり変形を付加できる。成形の容易さから、工業用純アルミニウム粉末A1050を対象とし、成形圧力とすべり量を変化させ、粉末成形体の充填率と強度の変化を調べた。強度は成形体が中空円筒形であるため、中空穴にフックを通し、引張試験により引張破断公称応力を求めた。実験の結果、回転を付加しない場合、成形圧力が600MPaまで増加すると、充填率は97%まで増加した。一方、成形圧力を312MPa一定としてすべりを与えた場合、充填率は約95%一定で、充填率向上はみられなかった。引張強度は、回転を与えない場合、成形圧力を600MPaまで増加させても2MPaであったものが、回転を与えた場合、回転量とともに強度は増加し、4π回転(すべり量約62mm)で約20MPaとなり、10倍の強度向上が得られた。この機構解明、さらに強度向上の方策の追求は、今後の課題である。
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