研究課題/領域番号 |
63460086
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
兼田 〓宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039123)
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研究分担者 |
西川 宏志 九州工業大学, 工学部, 助手 (40208161)
鈴木 裕 九州工業大学, 工学部, 助教授 (00144204)
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キーワード | トライボロジ / 弾性流体潤滑 / トラクション / ガラス転移 / 限界せん断応力 / マイクロEHL / 表面あらさ |
研究概要 |
1.スクイズEHL条件下における油膜の時間的変動の観察 規則的3次元凹凸を表面に付与した鋼球を用いて衝撃試験を実施し、 (1)潤滑油は接触域内に巨視的に閉じ込められるのみならず各突起下にも微視的に閉じ込められることを観察し,その生成機構を解明した。 (2)突起下に閉じ込められた油は滑り条件下では転がり条件下よりも排出されやすいことを見出し、マイクロEHLの適用に新知見を加えた。 (3)閉じ込め及び排出油量が潤滑油組成で変化することを明らかにした。 2.EHL下における固化現象の直接観察 衝撃閉じ込め膜および下記3の手法による三日月閉じ込め膜の転がり・滑り急始動に伴う過渡的挙動を観察し、ガラス転移した潤滑油のせん断面が潤滑油組成によって相違することを明らかにした。 3.EHL油膜の局所的周期変動の観察 ステッピングモータを利用して接触域内の油膜形状に周期変動を与えこれを目印として壁面すべりの可能性を検討した。さらに、変動速度下での油膜挙動と潤滑油組成との関連性を把握した。 (1)壁面すべりは存在する。その程度は膜厚および潤滑油組成で相違する。 (2)速度変動は純転がり下では最小膜厚以外の膜厚・膜形状に大きい影響を与えるが、純すべり下では顕著な影響を与えない。 (3)ナフテン組成の固化しやすい潤滑油によるEHL膜形状および膜厚は一様速度下でも滑り状態と転がり状態とでは著しく相違し、EHL理論に従わない。これは壁面すべりの影響ではなく固化膜のせん断による崩壊が原因と考えられる。 以上、高接触圧力下で使用される機械要素の性能向上を図るためには潤滑油の粘度特性のみならず分子構造をも考慮する必要があることを示した。次年度はこの問題をさらに深化させる予定である。
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