研究概要 |
水中衝撃波のフォ-カッシングにより発生する超高圧を利用して高速ジェットを生成する試みを実験的に行い、流れ場の詳細を明らかにする目的で数値シミュレ-ションも併せ行った。まず、従来より継続して研究を進めてきた、微小火薬を用いる理想的な水中衝撃波の発生方法の確立に努めた。続いて、回転楕円体内部の第一焦点部におかれた微小火薬の起爆によって球面衝撃波を発生させ、回転面での反射の後、第二焦点部に超高圧を発生させた。高圧液体ジェットの生成の駆動源としてこの超高圧を利用することから、衝撃波フォ-カスのプロセスと限局された領域に超高圧が発生するメカニズムの解明を実験および理論の両面から詳細に行った。その結果、実験的にはアジ化銀10〜100mgの範囲で, 第二焦点において最高5,000気圧、またPETN100mgでは8,000気圧を超える高圧の発生に成功した。これらの基礎研究に基づいて、長・短径212mm×150mmの回転楕円体内部で10mgのアジ化銀ペレットを爆発させ、第二焦点部に生じる約2,100気圧を利用して高圧ジェットの生成を試みた。すなわち、第二焦点部に外径8mm、内径5mmの円形パイプを配置し、その出口端に取り付けた喉径1mmのノズルを介して高速ジェットを発生させた。ノズル出口に試作したPVDF圧力系を対向させ、パルス状ウォ-タ-ジェットの衝突に起因するよどみ点圧を計測した。第二焦点部で生ずる約2,100気圧のパルス状高圧は、パイプ内に液体の高速流れを誘起し、ノズル出口で最大圧力約90気圧、半値幅約2μsのよどみ点圧を生成した。この時、ジェット速度は約130m/sと見積ることができる。このようなパルス状液体ジェットは限局された空間に極めて短い時間(2〜3μs)指向性の強い液体の高速流れを作ることが可能であることから、今後この特性を活かした医学利用やその他の分野への応用を考えて行きたい。
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