研究概要 |
高温気流による壁面過熱の微粒子シ-ディングによる防止,微粒子による壁面損傷の機構と防止法,冷却面における気流蒸気成分の凝縮と境界層制御など,高速二相気流の壁面境界層問題に関連して,その流体力学的構造と熱的過程を調査した.数値解析と衝撃波管実験により,下記のように2面からの研究を行って,流れのモデル化と構造把握を行った. (1)平板境界層内での微粒子と気流の力学的・熱力学的干渉30〜50μ程度の固体微粒子が分散する高速二相流体の境界層解析を行った.気体と微粒子の間に速度の滑りが存在し,気流が流れ直角方向に速度分布をもつ場合,微粒子には抗力と共に揚力[Saffman型]を受ける.この為に微粒子の運動は気流の運動方向から逸れて,均一分散粒子群は粗密な濃度分布を示すようになる.壁面近くでは,粒子はほとんど消失し,気流境界層の10倍程度の位置に高濃度の微粒子層が形成される.このような二相境界層の構造を前年度までで数値解析により明らかにしているが,今年度は流れの非定常性,粒子間の衝突率の影響を調査し,衝撃波管による実験計測とほぼ完全に一致する結果を得た.衝突率の評価は粒子分布に顕著な影響を示すが,壁面熱移動には,気流の温度境界層が薄い為に,あまり影響を与えないことが判る.以上により,固気二相流の境界層構造の早期過程がほぼ把握できたと考える. (2)窒素・水蒸気二成分気体の冷却壁における凝縮とはく離境界層 任意濃度の二成分気体が冷却された円弧・平板翼上で凝縮する場合の境界層はく離構造を,数値解析とシュリ-レン撮影により調査した.BeamーWarmingにより,圧縮性粘性流方程式と凝縮系の構成方程式を数値解析し,衝撃波管実験による衝撃波誘起境界層はく離と比較を行った.蒸気成分に対して過冷却状態(ー50℃)の翼では,はく離位置は10%翼弦長程度後退し,衝撃波が逆圧勾配面に附着する効果も認められた.
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