研究課題/領域番号 |
63460106
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 博 名古屋大学, 工学部, 教授 (80023050)
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研究分担者 |
三矢 保永 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10200065)
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キーワード | 浮動ヘッド / 薄膜気体潤滑 / レイノルズ方程式 / 面粗さ / スリップ流れ / 平均すきま / 動特性 / レーザ測長 / 磁気記憶装置 |
研究概要 |
記録媒体上をサブミクロンの超微小すきまで浮上する浮動ヘッドにおいて問題となっているヘッドクラッシュ現象を解明するため、浮動ヘッドの動的挙動を実測するための実験系を構成するとともに、超微小すきまにおけるシミュレーションを可能とする動作解析法の研究を進めた。 1.実験系の構成:定常浮上状態から接触に至る現象を実測するためには、現象を再現する高精度な回転系・除塵機構およびナノメートルの高分解能と数百KHzまでの広帯域のすきま測定系が必要となる。そこで高剛性の静圧空気軸受支持・DDモータ付きの精密スピンドル、空気循環方式の内部除塵機構、妨振テーブルなどにより、回転数:300ー7000rpm、回転精度:ラジカル5μm;スラスト:1μm以下で、ヘッド浮上量0.02ー1μmを可能とする実験装置を構成した。またHe-Neガスレーザ、フォーカシングユニット、反射光遮蔽光学系などにより、分解能0.002μm・測定範囲0.03ー1μmのすきま測定系を構成した。 2.動作解析法の研究:接触直前の特性を支配する面粗さの影響を解析するために、粗い面をこれと等価な平滑面で置き換える平均すきま理論をスリップ流れの領域に拡張することにより、平均化された修正レイノルズ方程式を導入した。この方程式の数値計算には、潤滑領域のすきま形状と境界形状に依存しない有限要素法を用いることとし、計算アルゴリズムと計算手順を明らかにした。解析の第一段階として、微小変位を仮定した摂動法に基づく動特性解析プログラムの開発を進めた。計算結果では、面粗さによって空気膜の剛性・減衰係数は一般的に低下し、低下の割合は直交粗さ・二次元粗さ・平行粗さの順に大きくなること、粗さパターンの差の影響は小さいことなどを明らかにした。また、数値計算上の問題点として低すきま、高周波数になると収束解の安定性が劣化することを指摘した。
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