研究課題/領域番号 |
63460109
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
榊 陽 千葉大学, 工学部, 教授 (80005280)
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研究分担者 |
天沼 克之 千葉大学, 工学部, 講師 (50009255)
奥野 光 千葉大学, 工学部, 助教授 (60169240)
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キーワード | 薄膜巻磁心 / 人工層状磁心 / 等価損失抵抗 / 等価ヒステリシス抵抗 / 等価うず電流抵抗 |
研究概要 |
ポリイミドフィルム上にCoZrMo膜をスパッタ蒸着し、多数重ねた積層薄膜磁心については前年度報告した。今年度は渦電流損を低減すると同時に、一工程で多層構造の磁心を作成する手法について検討した。まず、巻磁心の製法について検討した。ポリイミドテ-プを真空槽内で回転させ、CoZrMo膜を2μm厚さにスパッタ蒸着し、石英管をボビンとした巻磁心を作成した。その直流保磁力は4A/mのものが得られた。次に石英基板上にCoZrMo層とSiO_2層とを交互にスパッタ蒸着した人工層状磁心を作成した。その直流保磁力は2.8A/mで、前年度の積層環状薄膜磁心の1/2という極めて小さな値を達成でき、MH_Z帯に於ける電力変換用磁心の手がかりを得ることができた。 高周波電力用磁気回路の解析や特性評価の一方法として、磁心を等価損失抵抗で表すと便利であることは良く知られている。従来磁心の損失抵抗の決定には、測定損失から逆算する方法が行なわれており、その物理的意味や周波数・磁束密度への依存性についてはほとんど知られていなかった。磁心の高周波特性評価のため、磁心の等価損失抵抗を等価ヒステリシス抵抗と等価渦電流抵抗に分け、おのおのについて、実験との対応から、それらの物理的意味を追求した。その結果、前者はスタインメッツ定数に、後者は磁区構造に強く依存することが明らかになった。この結果を薄膜磁心に適用することにより、高周波動作に適した薄膜磁心の選定基準、薄膜磁心の最小損失条件等が明らかになり、スイッチング電源用薄膜磁心設計の指針を得ることができるようになった。
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