研究概要 |
共役系の発達した導電性高分子を導体、二次電池等種々の電力応用という立場から作製し、その基本的な性質を調べ次に記す様な成果を得た。 (1)ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン等及びそれらの各種置換体、例えばポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(2,5-ジエトキシ-p-フェニレンビニレン)等各種導電性高分子を触媒法、電解重合法、前駆体を熱処理する方法等で作製する方法を確立した。 (2)ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン等とその置換体ではアルキル鎖長、アルコキシ基の種類により電子状態が大きく変化する事、特に価電子帯の上端が規則的に変化する事を見い出した。これにより、二次電池として用いた場合の自己放電,安定性に対する設計指針を得た。また、電子状態は温度により特異な変化をし、応用にも影響する。 (3)触媒重合法によるものと電解重合法によるものではド-ピング特性に大きな差がある事を見い出した。これはド-パントの拡散係数に導電性高分子の作製法によるモルフォロジ-の違いが影響を与えているためである事を明らかにすると共に、高エネルギ-密度と共に高出力密度の二次電池を実現するための指針を得た。 (4)鎖状導電性高分子の分子構造、高次構造がP型ド-パントの安定性、従って金属としての安定性に大きな影響をおよぼす事を明らかにした。 (5)赤外線を使ってCVD法で酸素を含む炭化水素から高導電性のグラファイトフィルムが得られ、これにFeCl_3、K等のインタ-カレ-ションが可能で10^5S/cmに近い導電率が達成できるので導体として利用可能であることを明らかにした。 (6)高導電率状態の導電性高分子を導体として実用化するには更に安定化が必要であること接地抵抗用材料としても応用可能な事を明らかにした。
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