研究概要 |
1.これまで知られていない配向性薄膜の物理定数をバルク波と弾性表面波の伝搬特性から最小自乗法を用いて決定した。さらに、速度の温度係数の膜厚依存性から、定数の温度計数を決定する方法を提案し、それを決定した。その結果、Ta_2O_5薄膜基板の弾性表面波特性を理論的に求めることが可能になった。 2.配向性薄膜の非線形特性を確認するために,エラスティックタイプの弾性表面波コンボルバを作成し、コンボル-ション効果の起こることを確認した。コンボルバ効率は、非線形係数が大きく一般に弾性表面波コンボルバに用いられているY-Z・LiNbO_3基板の値に比較しても、大きさに遜色はなく非線形材料としても十分使用可能であることが分かった。 3.本研究費により購入されたマグネトロン型RFスパッタ装置を用いて、薄膜を作成し検討を行った結果サファイア単結晶基板上にエピタキシャルさせることの可能性を見いだした。 4.一軸配向性薄膜のX軸分散は、酸素雰囲気中熱処理を行うことにより小さくなり、スパッタ直後に比べて、熱処理後には約半分になることが明らかになった。さらに、酸化が進み、完全な五酸化物であることも明らかにされた。 5.今後の課題として次の点が上げられる。 (1)本薄膜の強弾性を明らかにし、弾性表面波非線形デバィスへの応用を図る。 (2)基板の適切な選択を行い、エピタキシャルな薄膜の作成条件を明らかにする。
|