研究課題/領域番号 |
63460119
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
澤 五郎 三重大学, 工学部, 教授 (40023072)
|
研究分担者 |
飯田 和生 三重大学, 工学部, 助手 (80135425)
中村 修平 三重大学, 工学部, 助教授 (70109297)
|
キーワード | 蒸着重合 / ポリイミド / 絶縁材料 / 薄膜 / 電気伝導 |
研究概要 |
代表的な耐熱性高分子絶縁材料であるポリオキシジフェニレンピロメリットイミド及び類似の分子構造を持つポリイミドの薄膜について蒸着重合法による膜作成と電気伝導特性について検討した。まず、各種の構造単位を持つポリイミドの作成のために、蒸着重合装置の改良を行った。当初の蒸着重合装置では、モノマ-の蒸発量のモニタ-、制御は水冷の水晶振動子を用いて行っていたが、ポリイミドの単位構造を変えるためにパラフェニレンジアミン(PDA)やデカメチレンジアミン(DMDA)等の分子量が比較的小さく融点の低いモノマ-を用いようとすると、それらのモノマ-が水晶振動子の表面に付着しないため、蒸発量のモニタ-ができなかった。そこで、水晶振動子にペルチェ効果を利用した冷却器を取り付け、水晶振動子の温度を-15℃程度に下げた。このことにより、低分子量のモノマ-を用いても蒸着重合によって制御性よく成膜できるようになった。また、重合に用いる各モノマ-の分子量の差が大きい場合に、分子量の大きいモノマ-の薄膜中への混入を防ごうとすると膜の生成効率が悪くなることが示された。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)とDMDAから作成したポリイミド薄膜は作成条件によっては分子鎖が基板に垂直に近い方向に配向した結晶を持つものが得られた。このポリイミドの導電電流は結晶性の良いものほど小さくなる傾向が見られ、これは、分子鎖中でπ電子系を持つピロメリットイミド部分がメチレン鎖によって隔てられ、結晶中でのキャリアの移動が妨げられるためと考えられた。また、絶縁用のフィルムやワニスとして実績ある全芳香族ポリイミドと同じ分子構造を持つ薄膜では、π電子系の広がりが大きいと考えられる構造のポリイミドほど高電界での導電電流が大きくなる傾向が見られた。以上のことより、薄膜の分子構造、高次構造とも導電特性に影響を及ぼすことが確認された。
|