本研究計画を進めるための初年度として、次に掲げる基礎的事項についての検討を、主として行なった。 1.自然観測法に従えば、即時基本観測値系列は、逐次アナログ並列回路網の出力として簡単に計測することが出来るが、これから理想瞬時スペクトル分布を算出するアルゴリズムについて研究し、概ね所期の目的を達成した。 2.即時基本観測値系列をこれと本質的には弄価な特徴系列に変換する方法は、色々と多数考えることが出来るが、時間の経過につれて比較的変動の少い安定した特徴系列の形式の定め方について研究するとともに、そのような特徴系列への変換アリゴリズムについても、併せて検討を行った。 3.波形の構造を理解するには、波形が持っている基本的性格と波形利用の視点との関わりに着目することが、重要である。この考え方を基盤として、波形の構造を合理的に表現するような理論形式について検討を進めた。この検討は未完成であるが、前項1、2との関係をどのように解釈すべきかは、今後の課題である。 4.情報の表現では一般に様々な冗長性が、無意識または意識的に取り入れられる。ここでは波形構造の立場から、波形の中に埋没されている冗長性の実体を理論的に解明し、その評価を定量化することについて、研究を行った。冗長性の活用は今後の情報処理分野における重要課題の一つと目され、その意味からも考察を深めたい考えである。 5.シミュレーション実験については、一応体制の準備が整えられた段階である。目下実験展開の計画を立案中であり、その計画は新年度を迎えると同時に実行に移される運びとなっている。
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