研究概要 |
平成元年度に引続いて,プリプロセッサの一層の改良を目指して,サブル-チン等の副プログラムに対する処理,ベクトルプロセッサ向けの処理の方法を考察した.また,新たに,勾配の誤差も計算できるようにした. 本研究の応用的側面として,幾何的アルゴリズムを利用した地理的最適化問題に高速自動微分法を適用することを試み,その効力を調べた.従来の解法と高速自動微分法を用いた解法とについて,それらの収束性を詳しく調べ,高速自動微分法の有効性を確認した.これには相当量の時間と労力を費やし,満足のいく結果が得られたが,反面,計画のうち,高速自動微分法と現存の数式処理システムとの融合,大型計算機へのプリプロセッサの移植の2点に関してだけは,本年度中には十分な実績をあげることができなかった. また,最終年度として計画していた,研究成果のとりまとめと発表に関しては,国内においては平成2年11月に開かれた京都大学数理解析研究所研究集会「数値解析と科学計算」において,久保田・伊理・室田「最適化算法と高速自動微分法」として発表し,海外においては平成3年1月に開かれたSIAM Workshop on Automatic Differentiation of Algorithms:Theory,Implementation,and Application,Hilton Hotel,Breckenridge,Colorado,USAにおいてMasao Iri:Automatic Differentiation and Rounding Error EstimationーOverview and HistoryおよびKoichi Kubota:PADRE2,a FORTRAN Precompiler Yielding Error Estimates and Second Derivativesとして発表し,満足のいく反応を得た.
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