研究課題/領域番号 |
63460138
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
濱崎 襄二 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00013079)
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研究分担者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (30134638)
榊 裕之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90013226)
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キーワード | 量子井戸 / 光デバイス / キャリヤ誘起効果 / GaAs / AlGaAs |
研究概要 |
(1)キャリヤ誘起効果解明のための透明ゲート量子井戸FETの試作: 分子線エピタキシー法を用いて、GaAs/(AlGa)As量子井戸構造を形成し、(AlGa)Asにドナーをドープした選択ドープFETを作り、キャリヤ密度が1×10^<12>/cm^2から零まで電圧で制御できることを確認した。この時ゲート電極として、半透明の金の電極を用いる技術を確立して、量子井戸チャネルにおける光の吸収スペクトルや発光スペクトルの観測が可能となった。 (2)量子井戸FETの吸収および発光スペクトルのキャリヤ密度依存性の解明: 試作した量子井戸FETに色素レーザからの光を照射し、フォトルミネッセンス(蛍光)とその励起波長依存性(励起スペクトルと呼び吸収係数に比例するため、以下は単に吸収スペクトルと称す)を調べた。その結果、キャリヤ密度Nsを増すにつれて、蛍光線は長波長側に移動し、その大きさは、多体効果とシュタルク効果の相加的作用として説明できることが示された。又、吸収スペクトルでは、Nsの増加に伴い、励起子に起因する急峻な構造が消滅するとともに、吸収端が100〓以上短波長側に移動することが明らかとなった。この青色シフトは主として、バンドを充満することに伴う現象(バーシュタイン・モス・シフト)によるものとして、よく説明できることが明らかとなった。 (3)励起子ピークのキャリヤ密度依存性の解明: キャリヤ密度を増した時に、吸収スペクトルでの励起子ピークが消滅するが、この時蛍光スペクトルの支配要因にも変化が生ずるはずである。蛍光スペクトルの測定を強磁場中で行ったところ、キャリヤ密度の多少に対応して、磁場に伴う蛍光波長の青方変位が独特の磁場依存性を示し、この予測を裏付ける結果が見出された。
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