研究概要 |
1.河川水温の変化の測定と解析 昭和63年12月から平成2年12月まで信濃川水系において水温,気温を9地点について測定し,一年を通じて水温と気温に強い相関があること,及び降雪の混入によって水温が急激に下がるとともに降雪が終れば回復することが明らかとなった。水温と気温の変化の位相差を考慮して,水温と気温,降雪量などと重相関分析を行うことによって,水温の年変化及び日変化を追跡することが可能となった。このモデルにより,昭和56年豪雪時の小出地点の水温を推測し,豪雪年でも消融雪溝が利用可能なことを明らかにした。 2.流雪溝・消融雪溝の流雪・融雪能力の改善 流雪溝の流雪能力を理論的に明らかにするには条件設定が困難で十分に成果をあげることはできなかったが,現地及び室内実験によって設計に使用すべき流雪能力を求めることができた。また,流雪溝の壁面を塗装することによって,一定流量に対し2倍以上に流雪能力を高め得ることを明らかにした。 消融雪溝に関しては,流量,水温が与えられれば理論的に融雪能力を算定でき,それは実験結果と良く符合することを明らかにした。また,効率的に融かすには堰の高さを低くし,多段構造にするのが良いことを明らかにした。 3.除雪システムの運用に関する研究 岩手県沢内村や新潟県津南町,十日町市など特別豪雪地帯における除雪システムを調査することによって,冬期除雪体制の確立が地域振興の基盤であることを明らかにするとともに,行政と住民組織との協力システムが多種多様な形態・内容で存在し,それぞれ個別では出し得ない大きな力を発揮していることを明らかにした。
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