研究課題/領域番号 |
63460168
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柴田 拓二 北海道大学, 工学部, 教授 (30001142)
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研究分担者 |
後藤 康明 北海道大学, 工学部, 助手 (90170472)
城 収 北海道大学, 工学部, 助教授 (80002014)
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キーワード | 中低層鉄筋コンクリート耐震壁 / 変形成分比 / 滑動変位 / 壁脚回転変位 / 壁脚打継壁 / 一体打壁 |
研究概要 |
中低層の鉄筋コンクリート耐震壁の弾塑性変形挙動を実験的に解明し、靱性評価に必要な要因を明らかにして、耐震壁の合理的な設計理念の確立に資することを目的として、実大の1/5程度の独立平面耐震壁模型(層数2種、コンクリート強度2種、コンクリート打設方法2種、計6体)を作製し、正負繰返し変位漸増加力下の曲げ、剪断、回転、滑動、軸方向変形の特性を検討した。主な結果は以下の様である。 1.曲げ及び剪断の初亀裂発生前の段階から壁と連続基礎の境界(壁脚)での回転変形が生じており、壁の初期剛性は曲げ・剪断のみで評価した計算値に比べ著しく低い。 2.壁脚における水平変位(滑動)は、正負加力による曲げ亀裂貫通直後から始まるが、側柱軸筋の引張降伏後に顕在する。壁頂の基礎に対する全水平変位に占める滑動の成分比は、壁脚でのコンクリート打継ぎの有無によって差があり、M/Q・L÷1.2(L:壁長)の壁でδ_T=H/400(塑性率約1.8)のとき、打継壁:8〜14%、1体打壁:3〜4%、H/200では同じく10〜18%及び4〜6%、M/Q・L=0.6の壁でH/400(塑性率約2.5)のとき、打継壁:10〜17%、1体打壁:7〜10%、H/200のとき18〜33%及び8〜12%であった。いずれも同一変位増分ステップの正加力時よりも負加力時の滑動が大きくなっている。 3.壁脚回転の壁頂全変位に対する成分比では、打継ぎの有無による差は明瞭でなく、M/Q・L÷1.2の壁ではH/400で10〜28%、H/200で13〜32%、M/Q・L÷0.6の壁ではH/400で5〜10%、H/200で8〜16%となった。M/Q・Lの小さい壁では回転変形が加力の一方向に残留、累積して正負変形が非対称になる傾向が顕著である。 4.側柱軸筋降伏後の荷重・全変位ループの形状は、M/Q・Lの小さい壁ほどスリップ形となり、壁脚打継壁にその傾向が強い。
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