研究概要 |
コンクリ-トの圧縮強度が3種(Fc=300,450,600kgf/cm^2)に変化する、一辺18cmの正方形断面のRC柱が、その予想剪断耐力の約2/3に至るまでの正負繰返し中に、作用軸圧縮応力度が150から-60kgf/cm^2の範囲で変動する場合の剪断(8体)と曲げ(4体)強度性状を、柱に作用する水平力の加力角度を2種(0°と45°)に変化させて行った比較実験の結果、次の成果を得た。 (1)剪断耐力は、柱断面に対する水平加力角度の違いに拘わりなく、コンクリ-ト強度が600kgf/cm^2程度まではこれに比例して増加するが、耐力以後の保持力の低下は急激となる。 (2)本実験のような変動軸力受ける場合の柱の耐力は、繰返し加力時に得られた最大の圧縮軸力又は引張軸力の値を採用することにより評価出来るが、この場合の剪断耐力は、繰返し載荷時の軸力係数やコンクリ-ト強度にほぼ比例する傾向がある。 (3)剪断補強筋を増大させることにより、コンクリ-ト強度や水平加力角度の違いに拘わりなく、曲げ耐力以後の保持力の低下を少なくさせることが可能であり、その時の曲げ耐力を従来の曲げ耐力式で評価出来る。 (4)剪断耐力実験値は、コンクリ-ト強度の適用限界を高強度に拡張した場合には、水平角度の違いに拘わりなく既存の算定式による計算値よりも、最近提示された倉本・南による“修正南式"に最も良く適合する。しかし、引張軸力となる場合には、特に、日本建築学会の設計指針による計算値が、実験値に対して高強度になるほど過大に評価される点は注意を要する。
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