本研究は、道路交通騒音が市街地を伝搬する際の建物等の障害物による騒音減衰量の予測方法を確立しようとするものである。研究方法としては、初めに市街地縮尺模型を用いて騒音減衰量を実験的に求め、そのデ-タを用いたコンピュ-タ・シミュレ-ションによって様々な市街地条件に対する騒音予測方法について検討し、最後に現場実測デ-タと比較検討して予測方法の妥当性を検証しようとするものである。 本年度は研究の最終年度にあたり、昨年度までに実験から求めた騒音減衰量の予測方法の妥当性や精度を検討する。すなわち、現実の道路周辺において道路交通騒音を実測調査し、その結果を予測計算結果と比較検討する。 騒音の実測を行う場所は、市街地条件の異なるものをいくつか取り上げるために、合計5ヵ所選定した。各測定地において、道路端と市街地内の測定点(およそ30ヵ所を基準とする)で道路交通騒音を同時測定した。両測定点の騒音レベルの差が本研究で必要なデ-タである。騒音測定に併せて、道路の交通状態(交通量・大型車混入率など)も調査し、また測定地における建物等の障害物の状態を、住宅地図と現場踏査から把握した。 実測結果の分析では、まず最初に、騒音レベル減衰量と市街地パラメ-タとの関係について検討した。その結果、レベル減衰量は、受音点から道路をみたとき水平角120°の範囲にある障害物の密度(建ペい率と建物平均高さ)と道路からの距離で、概ね予測できることが分かった。次に、昨年度までの予測計算方法の妥当性を検証するために、現在、コンピュ-タ・シミュレ-ションを行っているところであるが、詳しい結果を得るまでに、もう少し時間がかかる予定である。
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