1.暖冷房時の室温分布の可視化に関する実験 本学室内気候実験室の床置き型ファンコイルユニット(以下FCUと略記)の中心線に沿って、天井から床面まで室断面内に障子紙を吊り下げる。暖房時及び冷房時とも、FCU作動後1時間にわたって障子紙スクリ-ンの温度変化をサ-モカメラにより撮影、ビデオテ-プに収録し、実験後に再生ビデオ画面を写真撮影し室温分布の熱画像を合成した。実験室のFCUの吹出風量をHigh、Middle、Lowの3段階、吹出角度を60°、50°および45°の3通り、全部で9通りの実験を行い、合成サ-モグラムにより各ケ-スの室温分布を比較した。 2.暖冷房室内における温熱感覚申告実験 同じく室内気候実験室において、College-ageの男性を被験者として、快適感と温冷感のほかに、放射感・気流感・乾湿感の温熱感覚を採取した。暖房時はFCUの吹出角度60°・吹出風量Highと吹出角度45°・吹出風量Lowの2通り、冷房時は吹出角度60°・吹出風量Highと吹出角度60°・吹出風量Lowの2通りについて実験を行い、実験条件及び身体各部位による温熱感覚申告状況の相違について調べた。 3.暖房室内温熱環境の数値予測実験 数値計算でどの程度分布の性状が把握できるか確認するために、サ-モカメラによる室温分布可視化実験で用いた暖房室内を計算対象室として、k-ε2方程式モデル、MAC法に基づく共役勾配法、k依存型対数則、Gebhartの吸収係数等を用いて、FCU中心断面における気流分布、室温分布を計算した。さらにこれらの計算値から座位の在室者に対するFangerの温冷感申告予測値PMVの平面分布等を求め、暖房時の室内温熱環境を評価するとともに、風速分布や室温垂直分布によってドラフトの危険性についても検討した。
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