研究課題/領域番号 |
63460184
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
西 和夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (10049687)
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研究分担者 |
津田 良樹 神奈川大学, 工学部, 助手 (00112996)
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キーワード | 桂宮家 / 御出入り絵師 / 片山尚景 / 福岡藩御用絵師 / 御用絵師尾形家 / 御用絵師三谷家 / 障壁画 / 障壁画下絵 |
研究概要 |
昭和63年度および平成元年度に判明した御用絵師に関する諸事項のうち、今年度はまず、桂宮御出入り絵師のひとりである片山尚景とその周辺の絵師につき調査を行い、作品および関連資料について分析を行った。片山尚景の作品については、京都の妙心寺に現存することを知り得たが、特に妙心寺塔頭聖沢院方丈の障壁画をとりあげ、分析を行った。片山尚景の妙心寺への出入りと、桂宮への出入りの関係は資料不足のため不明だが、尚景が当時高く評価されていたこと、方丈建築の障壁画を見事にこなすだけの技量の持主であったことが確認された。次に、桂宮家の御出入り絵師の原家の資料について分析を行った。「御所向華族方御画御用留記」により、嘉永から明治初年にかけての仕事の様相を知ることができる。屏凡・杉戸・衝立などの製作に関し、画題・仕様・製作期間・作品寸法等が判明するのである。 また、桂宮家以外の御用絵師についても、建築造営との関係につき分析を行った。福岡藩については、尾形家絵画資料中の建築関係資料を取り上げた。福岡藩邸または同藩江戸屋敷のものと判断される平面図が現存し、そこに附箋で画題・仕様等が示されている。これにより、部屋の機能と画題の関係、障壁画の種類、障壁画製作のための工夫(障壁画と唐紙の使い分け、図面表示の際の記号化)などを知ることができる。久留米藩については、御用絵師三谷家の絵画資料中の建築関係資料を取り上げ、江戸城の障壁画の下絵等を中心に検討した。三谷家の絵師は江戸に於て狩野派の師事し、狩野派絵師が所持した江戸城関係絵画資料の写しを作成している。その写しの中には、東京国立博物館の江戸城障壁画下絵にも入っていない貴重なものがあり、両者合わせての検討が今後の課題となる。このほか、彦根・薩摩・鳥取などの諸藩における御用絵師についても造営関与の様相が判明した。
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