鉄系アモルファス合金の強磁場磁化、交流磁化、磁場冷却効果、硬度、線磁歪、強制磁歪、熱膨張、弾性特性、短範囲および中範囲における構造解析、メスバウワ-効果などの研究を行い、以下に記するような結果が得られた。 1.強制磁歪の温度依存性においてピ-クが見られるが、その温度は交流磁化率、磁場冷却効果および微分磁化率などの測定結果より求めたスピン凍結温度と一致する。 2.線磁歪の測定において、極低温では磁場に対してヒステリシスを示すが、この現象はスピングラス状態における大きな磁気緩和と関係している。したがって、キュリ-温度ースピン凍結温度の温度範囲ではこの現象は見られない。 3.硬度の温度依存性において、キュリ-温度以下での傾斜は著しいが、この原因は熱膨張特性から確認されているインバ-効果によることで明らかになった。 4.アモルファス合金の磁性は構造に対して極めて敏感であり、水素吸蔵などにより原子間距離などが変化すると磁性も大きく変化する。 5.メスバウワ-効果から求めた内部磁場の温度依存性を調べてみたら、スピン凍結温度以下で著しい増大が認められた。これはスピンの横方向の凍結によるものと思われる。 6.アイソマ-シフトの鉄が100%への外挿値はγFeの値に極めて近く、四極子分裂は多くの合金系で同様の組成依存性を示す。
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