研究概要 |
1.超高圧下における遷移金属ー水素系の状態図の決定 TiーH,VーH系について、広い組成と温度範囲での状態図を圧力5GPaの下で決定した。その結果、水素固溶による顕著な融点降下を含む状態図の一般的特微を明らかにすることができた。とくに、VーH系において,温度230℃で80〜90at.%Hからなる水素合金が生ずることが見出されたのは注目に値する。下eーH系の状態図決定は水素化の方法に困難があって,まとまった成果を得るにいたっていない。 2.超高圧下における遷移金属ー水素系の構造変化と体積変化 TiーH系について,2種類の高圧相を見出した。遷移金属中に固溶した水素原子と単体水素の圧縮曲線を比較することによって,金属環境中にある水素原子は共通の圧縮曲線をもつことを見出した。これは高圧下で合成したFeーH系試料の組成を決定する助けになるものと期待される。 3.超高圧下中性子回折実験 高圧下での中性子回折実験には,その高圧セルの開発に種々の難問があって,当初の予定通りには進渉しなかったが,材料の選択とコリメ-タの設計に関して多くのテストを行った結果、ようやくその目途を立てることができるにいたった。FeーH系の研究に必要な高圧下での試料作製法はすでに完成しているので,遠からず本格的実験に着手できるものと期待している。
|