研究課題/領域番号 |
63460196
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
神尾 彰彦 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016524)
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研究分担者 |
手塚 裕康 東京工業大学, 工学部, 技官 (40180070)
里 達雄 東京工業大学, 工学部, 助手 (90126318)
村上 雄 東京工業大学, 工学部, 助手 (60016681)
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キーワード | 高圧凝固 / Al-Li合金 / Al-Li-Cu合金 / 複合材料 / SiCウィスカ@アルミニウム複合材料 / 時効硬化 |
研究概要 |
高圧凝固プロセスにおけるAl-Li系合金材料およびSiCウィスカ/Al-Li合金複合材料の作製ならびに合金成分、組織制御による諸特性の評価について研究を行った。 Al-2.3wt%Li-0.2wt%Zr、Al-2.3wt%Li-2.8wt%Cu-0.2wt%Zr合金を50〜100MPaの高加圧力下で凝固させることにより、全体が粒径約100umの非常に微細な等軸晶組織を有し、ポロシティおよびボイド等の欠陥のない健全な凝固組織が得られた。また、この試料に溶体化熱処理を施しても、ふくれ等の欠陥は発生せず、試料全体の機械的性質も良好で場所による値の変動がないことが明らかとなった。 また、SiCウィスカプリフォ-ム中にAl-2.3wt%Li合金およびAl-2.3wt%Li-2.8wt%Cu合金溶湯を100MPaの高圧力で含侵凝固させることにより、ボイド等の欠陥がなく、SiCウィスカと母相との界面の結合状態も非常に良好な複合材料が得られた。しかし、Al-Li合金溶湯がSiCウィスカプリフォ-ム中を通過する際にLiがSiCウィスカ表面に吸着され、母相中のLi濃度の変動することが見い出された。このLi濃度の変動に関しては、溶湯の含侵流動方向を一方向にし、SiCウィスカプリフォ-ム中に一度含侵した溶湯を押出し、新たな溶湯が続いて含侵する方法を確立することにより複合材母相中のLi濃度の均一化が計れることが明らかとなった。また、この複合材料は時効熱処理において焼入れ時の硬さが高く、200℃以下の熱処理では時効硬化を示し、SiCウィスカの体積率の増加に伴い時効硬化量は減少した。一方、200℃以上の熱処理では、焼入れ時の高い硬さがそのまま維持された。この複合材料の等温時効では硬さのピ-クが短時間側に移行した。これは硬化に寄与するδ′(Al_3Li)、T′_1(Al_2CuLi)準安定相の析出がSiCウィスカの存在により促進したためであることが、比熱測定、透過電顕観察より明らかとなった。
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