本研究は、合金粉末の圧力焼結における超塑性変形挙動の適応について検討したものである。 まず、Znー22%Al合金粉末を用いて、真空ホットプレス中の緻密化挙動について検討した。緻密化挙動を記述する理論式および緻密化機構図を用いて、250℃における一定圧力下での緻密化挙動と粉末組識との関係について検討した。層状組織を有する粉末は、粉末のべき剰則クリ-プにより緻密化が進行するものに対して、微細二層混合組織を有する粉末は、特定の圧力と相対密度の領域で粉末の超塑性変形によって緻密化が進行することを明らかにした。 次に、プラズマ回転電極法(PREP法)により製造したScr420鋼の粉末(PREP粉末)を用いて、真空ホットプレスの加熱、加圧方法の相違による緻密化挙動に及ぼす影響について検討した。同合金のバルク材の超塑性発現のために施した加工熱処理法を、粉末の圧力焼結過程に応用(ボ-ルミルを用いて加工した粉末を使用)したところ、粉末の超塑性変形により緻密化が行なわれることを明らかにした。また、得られた焼結体は微細なフェライトと球状セメンタイトからなる組織を有する。 以上の検討結果を基にして、形状記憶合金であるTiNiのPREP粉末を用いて、合金粉末に予ひずみ付加した場合の緻密化に及ぼす効果について検討した。700ー900℃での真空ホットプレスにおいて緻密化の促進が認められた。TiNiの場合、粉末の結晶粒の微細化にともなう変形抵抗の低下によると考えられる。また、得られた焼結体は一般に用いられている溶製材と比較して、結晶粒が微細であることから2倍以上の形状回復力を示した。
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