研究課題/領域番号 |
63460199
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅田 高照 東京大学, 工学部, 教授 (50011078)
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研究分担者 |
永山 勝久 東京大学, 工学部, 教務職員 (80189167)
鈴木 俊夫 東京大学, 工学部, 助教授 (70115111)
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キーワード | Nd_<15>Fe_<77>B_8合金 / 液体急冷法 / 準安定相 / セル構造 / 保磁力 / 結晶配向 |
研究概要 |
液体急冷単ロール法による作製したNd_<15>Fe_<77>B_8組成の3元急冷薄帯において、主相であるNd_2Fe_<14>B相を取り囲む粒界に、これまでまったく報告されたことのない未知の準安定相を見い出した。この粒界相は試料厚40〜100μmの広い範囲で形成され、組織的にはセル状態を呈する。また上記試料はX線回折測定を行った結果、急冷状態で薄帯厚さ方向に主相のきわめて高いC軸配向が認められた。さらに本試料を薄帯の面内方向に62KOeのパルス着磁後、26KOeまでの外磁場下で振動試料型磁力計を用いて磁化曲線を測定した結果、未飽和であったが残留磁束密度Br=80emu/g、固有保磁力iHc=22.8KOeのきわめて高い硬磁気特性が得られた。ここでこれまでの本合金系の急冷薄帯においては、主相を取り囲む粒界相としてNdFe_4B_4、Nd-リッチ相の存在が示されていたが、このような相状態下では特に保磁力に関して本研究で得られたような高い値は得られていない。そこで本試料で得られた高保磁力の発生機構を解明するため、透過電子顕微鏡により急冷直後の組織がその後の熱処理によってどのように変化していくかを、磁気特性の中で特に保磁力との関連から調べた。その結果、粒界に準安定相が存在する場合は主相との界面状態はきわめて平滑であり、この時に高い保磁力出現の相関が認められた。 したがって、本研究によりNd-Fe-B3元急冷薄帯の高保磁力発生に及ぼす最適組織制御は可能となった。よって今後の研究課題としては、高保磁力出現の主因をなす未知の準安定相に対し、相の組成分析、結晶構造の同定を行い、Nd-Fe-B系永久磁石材料の微細構造と保磁力発生のメカニズムを定量的に検討して行く。
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