研究概要 |
Ba-Cu-Y-O4元素及びそれに関連する2元、3元系の状態図について、大気中及び酸素とアルゴン混合ガス中で研究を行つた。出発物質として炭酸塩を用いる場合あるいはCO_2不純物ガスを含む空気中で焼成すると3元炭酸塩が形成されることが明らかとなり、状態図を作成するためには注意を必要とすることを指摘できる。状態図を決めるためX線回折、熱分析、顕微鏡観察を行つた。Y-Cu-O3元系にはY_2O_3,CuO,Cu_2O,YCuO_2及びY_2Cu_2O_5の5つの相が酸素分圧に依存して状態図に関与することが明らかとなつた。Ba-Cu-O3元系では酸素1気圧付近ではCuO,Cu_2O,BaCuO_2,Ba_2CuO_3の各相が存在することが明らかとなり、かつBa_2CuO_3は形を示す。Ba-Y-O3元系では真の酸化物はY_4Ba_3O_9とY_3BaO_1のみであり、その他の報告されている相は炭酸塩であることが示された。Ba-Cu-Y-O4元系ではYBa_2Cu_3O_<6+x>(123)超伝導相の他にY_2BaCuO_5(211),YBa_4Cu_3O_<8.5>(143)及びYBa_6Cu_3O_<10.5>(163)酸化物が存在することを示した。さらに1263,1223及び1173Kの各温度における等温断面を詳しく調べ、相平衡の関係を解明し、熱分析の結果と合わせて、4つの凝縮相が共存する一変系反応を明らかにした。実験結果をもとに4元素の一変系反応の反応線図を提案し、また、8つの未確認の一変系反応を含めて、この系の反応線図をより、4元系に存在する2つの不変系反応を実験により確認した。これらの状態図の知見をもとに超伝導体の組織を制御するための方法について考察を行つた。
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