研究概要 |
研究室内での爆接実験の可能な真空耐圧火薬試験器を購入し、その使用性能の確認および爆接条件の認定のための種々の予備実験を行った後、次にのべる本研究に入った。研究に使用した爆接素材は、合せ材はSUS304オーステナイト系ステンレス鋼板(板厚1mm)であり、爆接母材は、板厚15mmの構造用圧延鋼板SS41および機械構造用炭素鋼S45Cの2種類である。爆接方法は、何れの場合も平行法を採用し、使用爆薬は、ダイナマイトとした。 爆接機構ないしは挙動に影響を与える素材物性要因の重要なものとして、その動的な降伏強さや延性などが考えられる。本研究では、それらの要因と大きな関連性をもつ硬度を取上げ、母板となる炭素鋼板の硬度を、レーザー照射や燒入れ・燒もどしによる熱処理により種々変化させて、それらと爆接挙動との関係を検討した。現在までに得られた主な知見は、次のとおりである。 1.爆発荷重、接合面積比と母板炭素鋼板の硬さとの関係 本研究での母板炭素鋼板の硬さの変化範囲(Hv=149〜677)では、硬さの如何にかかわらず、ある爆発荷重(爆薬の質量/合せ材の質量)以上では、100%の接合面積比(接合面積/母板の表面積)が得られるが、母板の硬さの上昇とともに、爆接面の一部に接合が観察されはじめる爆発荷重および100%の接合面積比が得られる最小爆発荷重(Rc)は増大する。このRcは、母板硬さHvの関数として、次式であらわしうる。 Rc=A(Hv)^2+B A,Bは定数で、本研究の場合A=7.57×10^<-7>,B=0.59であった。 2.接合波形と母板炭素鋼の硬さおよび爆発荷重との関係 接合波形の波長・振巾は、爆発荷重の増大により直線的に増大するが、その直線の傾斜は、母板炭素鋼板の硬さの増大とともに減少する。
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