1 市販ボード類の接着耐久性 北米産のウェハァーボード(WB)、配向性ボード(OSB)、ベイマツ構造用合板(PW)、および国産パーティクルボード(PB)に水分繰返し(VPSD)処理を加えた際の厚さ膨張、曲げ性能、はく離強さ(内部結合力)の変化について考察し、以下の結果を得た。 【○!1】小片相互のからみ合いの少ない大形小片を用いたWB、OSBは水分処理の初期から比較的大きな厚さ膨張を示した。【○!2】ボード間の曲げ性能を比較すると、厚さ膨張の大きいWB、OSBは合板に匹敵する高い曲げ性能残留率を与えた。また、合板、OSBでは表層の単板木理、あるいは表層の小片配向に平行な試片は垂直試片より高い強度残留率を示した。【○!3】ボード間の接着耐久性を内部結合力で比較すると、OSBは合板に次いで安定した高い強度残留率を与えた。 2 OSBの接着耐久性におよぼす原料比重の影響 現在北米で生産されているWB、OSBは原料に軽量広葉樹、主にアスペンが用いられる。これは中比重ボードで十分な小片間の密着が達成され、良好なボード材質が得られるためである。OSBの接着性能におよぼす原料比重の影響を検討するため、比重を異にする3種類のラワン単板から調製した切削片よりOSBを製造し、VPSD処理における挙動を考察した。得られた主な結果は次のとおりである。 【○!1】原料比重の高いボードはVPSD処理で比較的大きな厚さ膨張を示し、曲げ強さ、はく離強さ残留率が劣った。【○!2】3層直交OSBのはく離試験で生ずる破壊層は常態では全て心層に生じたが、VPSD処理のサイクル数の増加とともに、特に高比重原料からのボードで、破壊層は表層と心層の境界層に移行した。【○!3】原料比重の高いボードでは長期耐久性の向上のため小片間の接着性能を高める必要が認められた。
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