配向性パ-ティクルボ-ドの強度性質におよぼす小片形状の影響 パ-ティクルボ-ドの材質におよぼす小片形状の影響は古くから知られており、曲げ性能等のボ-ド平面に平行方向の強度性質は小片細長比(長さ/厚さ)の増加とともに増大する。厚く、長い木材小片ではレジン添加量が軽減できるが、工程中の小片の取扱いに問題がある。一方、薄い木材小片は同一の細長比を与える小片長さが減少するため、小片の調製、レジンの均一添加が大形小片より容易となる。 この実験では同一の小片細長比(75)を有する2種類のベイマツ小片(1)厚さ0.4mm×長さ30mm〔S〕、(2)厚さ0.8mm×60mm〔L〕を用い、PFレジン添加率8%、ボ-ド比重0.75の3層直交の配向性ボ-ド(OSB)、比較材として単層ランダム成形ボ-ドを製造し、そのボ-ド材質について考察した。得られた結果は次のとおりである。 (1)ボ-ド製造過程での小片細長比の減少はL小片がS小片より大きかった。このため、L小片に含まれる5メッシュ以下の小形片を一部除去して、両小片の細長比を調整した。(2)供試ボ-ドの常態曲げ性能はL小片、S小片間に有意差はみられなかったが、はく離強さはS小片がL小片より勝った。(3)減圧・加圧注水【double arrow】乾燥の水分繰返し(VPSD)処理で生ずる厚さ方向のスプリングバックはL小片がS小片より極めて大きく、またL小片からのランダム成形ボ-ドはOSBより大きいスプリングを与えた。(4)VPSD処理10サイクル後の曲げ性能、およびはく離強さ残留率はS小片がL小片より勝った。(5)常態はく離試験の破壊層位置は常に心層に生じたが、VPSD処理のサイクル数の増加とともに、特にL小片では、表層と心層の境界層破壊が増大した。 以上の結果から、耐久性能が重視される用途では原料小片として、薄い小形小片が厚い大形小片より望ましいと判定された。
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