中山間地水田の災害発生条件の特徴について調査した。災害発生率(発生件数/農地面積ha)は1/10〜1/20の傾斜に区分される地形に全体の70%が集中することが見られた。 平地水田洪水災害について調査を行って結果、圃場整備による排水路整備が洪水の浸水の遅延および排水の迅速化に大きな効果を発揮したが、地区外への水門排水容量は従来規格では不十分であることがわかった。これらから、水害を受け易い地帯の圃場整備では農地と市街地の土地利用区分を災害防止の視点からの再編が望ましい。 遊水地内の私有地と遊水地としての両機能を有する土地利用の利害対立について調査した。地域災害が起きた事例では、土地利用が土地条件に合わず、災害対策を考えない土地利用の結果として生じている。 災害のための基礎実験として次のようなことを行った。関東ロ-ム(立川ロ-ム層土壌の突固めが良いものほど、スレ-キングの速度は遅く耐侵食性も良い。 水食、風食の土壌物理的実験から有効水分量と風食の限界風速には関係があり、造成直後の風食による農地保全にはその水分管理が重要である。火山灰土の粘土成分の分散・凝集性の法面崩壊への影響を考察し、光分散の特性、および電子顕微鏡によるアロフェンとイモゴライト鉱物は相互に類似した鉱物であるが、物理化学的性質は異なることを考察した。 地域災害の問題は農地災害と都市災害の問題であり、両者を結びつけた地域計画、土地利用計画が望まれる。中山間地はじめ平地水田地帯の災害常習地域の地域防災計画には農地とくに水田の圃場整備計画が地域計画の基本である言える。
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