昨年度に試作したSORビ-ム位置追従装置を改良し、SOR光散乱体に銅板を用いた。またX線TVで検出した散乱および蛍光X線強度を1操作線上において256回積分して強度分布を求めるように積分回路を増設した。その結果S/N比が向上し、半値幅の中心をビ-ム位置とすると位置検出感度は±0.03mmであった。回折計の高さの制御精度は±0.01mmであって、回折計に対するビ-ム位置変動を±0.3mm以下として単色X線の波長変動を±0.0001(Å以下に保という目的を達成した。 GaAs粉末試料を用い、GaK吸収端(1.19580Å)の長短両側の2波長、1.19735Å(λu)と1.19462【.SY.Angstrom.】(λs)において回折測定を行った。両波長においけるGaとAsの異常分散補正項、f'_G、f"_Gとf'_A、f"_Aの理論値について、f"_Gの差はf"_<Gs>-f"_<GL>=3.886-0.492=3.394であるが、他の項の差はすべて0.01以下である。λsにおける測定では、検出器にSSDを用い、8本の回折線について回折X線と蛍光X線とを分離して測定し、蛍光X線強度の角度分布を得た。この蛍光X線、強度をシンチレ-ションカウンタによる測定強度から差引いて回折X線強度を得た。 GaAsの奇数指数の回折線は、h+R+l=4n+1の線とh+R+l=4n-1の線とが同数交じっているので、λsとλLで得られた構造因子の平方の差を求めると IFs(hRl)1^2-1F'_L(hRl)1^2=16(f"_<GS>^2-f_<GL>^<"2>)exp〔-2B_G(sinθ/λ)^2〕 となり、左辺の実測値からGaの温度因子B_Gが得られる。しかし回折X線積分強度の測定精度が充分でないことと、回折計の入射X線強度モニタ-の感度がλsとλLとで異なるために、得られたB_Gの値の精度が低い、また得られた値も、CuK_α線を用いた回折測定から得られた構造因子について、通常のパラメ-タ最適化法で求めた値の2倍程度となっている。
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