研究課題/領域番号 |
63460230
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
三田 勝巳 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 室長 (40100169)
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研究分担者 |
赤滝 久美 愛知県身障害者コロニー, 発達障害研究所・治療学部, 研究助手
宮側 敏明 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・治療学部, 研究員 (40067252)
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キーワード | 重症心身障害児 / 健康管理 / 体力 / 循環機能 / 下半身陰圧負荷 |
研究概要 |
本研究では、長期臥床にある重症心身障害児の循環機能の改善を目指し、昨年度、臥位のままで重力負荷状態における循環反応を発生できる下半身陰圧負荷装置を負発した。本年度は、下半身陰圧負荷という受的負荷に対する心臓血管反応を分伏するとともに、訓練法としての可能性を検討した。 一般に、下半身に陰圧を付加すると、血液が下肢に貯留するため、静脈還流が減少する。そこで、心拍出量の減少を補償するために、心拍数が上昇する。また、血圧の低下を補うために血管収縮が起り、これを維持する。一方、重症心身障害児の下半身陰圧負荷に対する反応を調べてみると、全くの臥床の者は心拍数の上昇がみられず、血圧も陰圧の強度に平行して低下した。同じ臥床でも、時々受動的に座位などの抗重力姿勢をとる機会のある者は、陰圧負荷に対して心拍数の増加が認められた。しかし、健常者の反応よりは低かった。血圧の変化は、全くの臥床の者ほどではないが、低下する傾向を示した。また、この循環調節は、過去に立位や座位がとれたものほど成績が良かった。この結果より、重症心身障害児の循環調節能力は、たとえ受動的であっても抗重力姿勢、機会をもつか否かに大きく依存し、さらに、過去の姿勢、運動能力にも関係するものと考えられる。そこで、たとえ寄掛りの座位やつかまり立ちであっても、早期から重力の刺激をもつことは循環能力を維持、改善する上、極めて重要であり、このような姿勢を維持することが困難な場合には下半身陰圧負荷法が有効であろう。しかしながら、全くの臥床のもののように心拍数の上昇がみられず、血圧が顕著に低下する者に対しては慎重な対応が必要である。
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