研究概要 |
昭和63年度の研究実施計画は次の3点である。即ち、1)実験データの再評価と実験値の取捨選択、2)主として、評価に使う理論計算コードの選択と、その入力パラメータの最適値の選択原理の体系化と知識ベース化、3)実験データベースや計算コード群の大型センターへの移植。ワークステーションと大型機のネットワーク化である。 まず1)については、もっとも豊富に実験値存在し、かつ非常に信頼性が高く評価されている^<27>Al(n,α)^<24>Na反応の過去の実験論文を51篇収集し実験条件、実験手法、実験解析などの共通要素を論文の記述の情報から抽出し、帰納的推論手法により信頼性のある実験値との関連性を調べた。実験値データベースからの高信頼データを選択する上での重要な指針が得られた。2)では核理論計算を用いるコードとしてELIESE,CASTHY,GNASH,DWUCK,ECISを選択した。これらのコード群および各種実験値データベースファイルEXFORを日本原子力研究所核データセンターより入手し大型計算センターの計算機及び購入したワークステーション(HP9000-360CH)上で整備拡充し体系化を計った。3)これらのコードをもちいる評価手法の知識の整理を行った。大別して3段階のレベルが存在することが分かった。すなわち第1段階:デファオールトパラメータによる、ほぼ自動的な評価計算。第2段階:主なもののパラメータを調整する、第3段階の前処理的なもの。第3段階:従来の評価計算でやっている程度の計算を支援する。段階が進むにつれて高度な支援が可能となるが、それだけ開発も困難となる。第2段階までに知識ルール化し、C言語を用いた知識工学的な開発環境のもとで第2段階までのものの開発を行った。ユーザインターフェースの部分と第3段階の支援システムの開発は来年度の課題となるが、知識表現の面で短期間では解決困難な問題も出てきている。
|